「世の中が何となくざわつき始めた。今にも戦争が起りそうに見える。焼け出された裸馬が、夜昼となく、屋敷の周囲を暴れ廻ると、それを夜昼となく足軽共が犇きながら追かけているような心持がする。それでいて家のうちは森として静かである。家には若い母と三つになる子供がいる。父はどこかへ行った。父がどこかへ行ったのは、月の出ていない夜中であった。床の上で草鞋を穿いて、黒い頭巾を被って、」ーー
著者:夏目漱石
朗読:長尾奈奈
制作:声の書店
協力:株式会社 仕事
再生時間: 00:06:59
販売開始日:2025/11/3
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慶応3年(1867)- 大正5年(1916)
江戸牛込馬場下(現、東京都新宿区喜久井町)生まれ。本名、金之助。帝国大学英文科卒業後、松山中学、第五高校で英語教師を経て、英国に留学。帰国後、東大講師となる。明治38年(1905)、『吾輩は猫である』で文壇に登場。『坊つちやん』『草枕』『三四郎』『それから』『門』『彼岸過迄』『行人』『こゝろ』『道草』『明暗』等、多くの傑作を執筆。近代日本を代表する文学者。