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夢十夜 第七夜(50)

夢十夜 第七夜

【日本近代文学名作選㊿】

夏目漱石

朗読 長尾奈奈

配信サイト

夏目漱石(慶応3年 – 大正5年)による短編小説
「何でも大きな船に乗っている。この船が毎日毎夜すこしの絶間なく黒い煙を吐いて浪を切って進んで行く。凄じい音である。けれどもどこへ行くんだか分らない。ただ波の底から焼火箸のような太陽が出る。それが高い帆柱の真上まで来てしばらく挂っているかと思うと、いつの間にか大きな船を追い越して、先へ行ってしまう。そうして、しまいには焼火箸のようにじゅっといってまた波の底に沈んで行く。そのたんびに蒼い波が遠くの向うで、蘇枋の色に沸き返る。すると船は凄じい音を立ててその跡を追かけて行く。けれども決して追つかない。」ーー

著者:夏目漱石
朗読:長尾奈奈
制作:声の書店
協力:株式会社 仕事
再生時間:
販売開始日:2025/

*聴き方、販売価格、購入方法、決済方法などは、各配信サイトにてご確認ください。

著者について

夏目漱石

慶応3年(1867)- 大正5年(1916)

江戸牛込馬場下(現、東京都新宿区喜久井町)生まれ。本名、金之助。帝国大学英文科卒業後、松山中学、第五高校で英語教師を経て、英国に留学。帰国後、東大講師となる。明治38年(1905)、『吾輩は猫である』で文壇に登場。『坊つちやん』『草枕』『三四郎』『それから』『門』『彼岸過迄』『行人』『こゝろ』『道草』『明暗』等、多くの傑作を執筆。近代日本を代表する文学者。