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海岸(20)

海岸

【日本近代文学名作選⑳】

島崎藤村

朗読 長尾奈奈

配信サイト

島崎藤村(明治5年 – 昭和18年)による短編
「上総の海、到頭この海岸の漁村へ来た。私は長い間の海に対する渇を医することが出来た。富津行の荷物、其他上総通ひの客を載せて横浜を出発した帆船は実に快く走った。十二分に風を含んだ帆はすこし船体を斜めにして、まるで青い波の上を滑つて来たやうなものだ。船の中で、船頭の煮いて呉れた飯も甘かった。富津へ着いてから斯の漁村へ来るまでの海岸も、私の好きな道だ。私は波打際の細い砂をサクサクと踏んで、保養の為にこゝに居るS君に逢ふのを楽しみにして来た。」ーー

著者:島崎藤村
朗読:長尾奈奈
制作:声の書店
協力:株式会社 仕事
再生時間:00:12:55
販売開始日:2024/10/8

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著者について

島崎藤村

明治5年(1872) – 昭和18年(1943)

筑摩県馬籠村(現、岐阜県中津川市馬籠)生まれ。本名、春樹。明治14年(1881) 上京。明治学院卒業。卒業後、『女学雑誌』に翻訳を寄稿。明治女学校、東北学院で教師を務める傍ら、北村透谷らの雑誌『文学界』の創刊に参加。劇詩や随筆を発表。明治30年(1897)、第一詩集『若菜集』を刊行し文壇に登場。続いて、詩集『一葉舟』『夏草』『落梅集』を刊行。浪漫主義詩人として活躍する。徐々に散文に移行し、明治39年(1906)に長編小説『破戒』を自費出版。明治41年(1908)『春』を発表。日本の自然主義文学を代表する作家となる。ほかに『家』『千曲川のスケッチ』『桜の実の熟する時』『新生』『嵐』『夜明け前』など。