守りがつらさに 子守のお話その二(59)

【日本近代文学名作選(59)】

守りがつらさに

北原白秋

朗読 長尾奈奈

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「日が照って、牡丹の咲いてる田舎のお家から、埃つぽくてせせこましい町方へ、子守に出たその子のことを思ふと、かはいさうです。ーよいよよいよと、よよ節唄うて、唄うてあるくは守の役。(伊勢)・西の町から、東の町まで、唄うてあるくは守の役。(同上)ーよいよよいよと、主人の子供を背なかに負つて、朝から晩まで、表を行ったり来たりします。ー守といふもな浅ましものよ。道や街道で日を暮らす。(伊勢)ー前結びに鉢巻をして、尻切草履で、まるでふくら雀のやうにねんねこを膨らかして、むづかる子をすかしすかしして、二人三人と、子守が日向へ集つたり、一人で遠くへ風に吹かれてゆく姿は、そこらの町辻や器によく見あたりませう。」ーー

著者:北原白秋
朗読:長尾奈奈
制作:声の書店
協力:株式会社 仕事
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販売開始日:2026

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ABOUT THE AUTHOR

明治18年(1885) – 昭和17年(1942)

熊本県生まれ、福岡県山門郡沖端村(現、柳川市)育ち。本名、隆吉(りゅうきち)。 早稲田大学英文科中退。与謝野鉄幹の新詩社に参加し、『明星』で活躍、のち文学者、画家らと「パンの会」を結成。明治42(1909)年、第一詩集『邪宗門』、明治44(1911)年、抒情小曲集『思ひ出』で詩人としての地位を確立し、大正2(1913)年、第一歌集『桐の花』で短歌にも新風をもたらす。大正4(1915)年、文芸雑誌『ARS』、大正11(1922)年には山田耕筰と雑誌『詩と音楽』を創刊。児童雑誌『赤い鳥』で多くの名作童謡を発表し、短歌雑誌『多磨』も創刊した。詩集『東京景物詩及其他』、歌集『雲母集』『雀の卵』『白南風』などを遺し、近代日本を代表する詩人・歌人として多彩な業績を残した。