嘘(65)

【日本近代文学名作選(65)】

太宰治

朗読 長尾奈奈

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「『戦争が終ったら、こんどはまた急に何々主義だの、何々主義だの、あさましく騒ぎまわって、演説なんかしているけれども、私は何一つ信用できない気持です。主義も、思想も、へったくれも要らない。男は嘘をつく事をやめて、女は慾を捨てたら、それでもう日本の新しい建設が出来ると思う。』私は焼け出されて津軽の生家の居候になり、鬱々として楽しまず、ひょっこり訪ねて来た小学時代の同級生でいまはこの町の名誉職の人に向って、そのような八つ当りの愚論を吐いた。名誉職は笑って、『いや、ごもっとも。しかし、それは、逆じゃありませんか。男が慾を捨て、女が嘘をつく事をやめる、とこう来なくてはいけません。』といやにはっきり反対する。」ーー

著者:太宰治
朗読:長尾奈奈
制作:声の書店
協力:株式会社 仕事/ROUDOKU.TALKER.JP
再生時間:
販売開始日:2026

このオーディオブックは、2025年11月8日、日本近代文学館で上演した「朗読タイムレスストーリーシリーズ」を新たに収録した作品です。

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ABOUT THE AUTHOR

明治42年 (1909) – 昭和23年 (1948)

青森県北津軽郡生まれ。本名、津島修治。中学時代から同人誌へ習作を発表。昭和10(1935)年『逆行』が第1回芥川賞候補となる。翌年、第一創作集『晩年』を刊行。以後、『富嶽百景』『津軽』『ヴィヨンの妻』『人間失格』等多くの作品を執筆。