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じいさんばあさん(56)

じいさんばあさん

【日本近代文学名作選(56)】

森鴎外

朗読 長尾奈奈

配信サイト

森鴎外(文久2年- 大正11年)による短編小説
「文化六年の春が暮れて行く頃であった。麻布竜土町の、今歩兵第三聯隊の兵営になっている地所の南隣で、三河国奥殿の領主松平左七郎乗羨と云う大名の邸の中に、大工が這入って小さい明家を修復している。近所のものが誰の住まいになるのだと云って聞けば、松平の家中の士で、宮重久右衛門と云う人が隠居所を拵えるのだと云うことである。なる程宮重の家の離座敷と云っても好いような明家で、只台所だけが、小さいながらに、別に出来ていたのである。近所のものが、そんなら久右衛門さんが隠居しなさるのだろうかと云って聞けば、」――

このオーディオブックは、2025年7月12日、日本近代文学館で上演した「朗読タイムレスストーリーシリーズ」を新たに収録した作品です。

著者:森鴎外
朗読:長尾奈奈
制作:声の書店
協力:株式会社 仕事/ROUDOKU.TALKER.JP  
再生時間:
販売開始日:2025
初出:大正4年(1915)『新小説』

*聴き方、販売価格、購入方法、決済方法などは、各配信サイトにてご確認ください。

著者について

森鴎外

文久2年(1862) – 大正11年(1922)

石見国(現、島根県)生まれ。本名、森林太郎。東大医学部卒業後、陸軍軍医となり、明治17(1884)年から4年間ドイツへ留学。帰国後、明治22(1889)年『国民之友』に、訳詩集『於母影』を発表。文芸評論誌『しがらみ草紙』を創刊し、啓蒙的文筆活動を開始。翌年、日本人留学生とドイツ女性との悲恋を描いた小説『舞姫』を発表。明治25(1892)年より、翻訳『即興詩人』を連載。日清戦争に出征。帰国後『めさまし草』を創刊。明治37(1904)年、日露戦争に従軍。『スバル』創刊後は『ヰタ・セクスアリス』『青年』『雁』などを発表。歴史小説『興津弥五右衛門の遺書』『阿部一族』『高瀬舟』、史伝『渋江抽斎』を執筆。日本近代文学の礎を築いた文学者。