めくらぶどうと虹(17)

めくらぶどうと虹

【日本近代文学名作選⑰】

宮沢賢治

朗読 長尾奈奈

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宮沢賢治(明治29年- 昭和8年)による童話
「城あとのおおばこの実は結び、赤つめ草の花は枯れて焦茶色になり、畑の粟は刈られました。『刈られたぞ』と言いながら一ぺんちょっと顔を出した野鼠がまた急いで穴へひっこみました。崖やほりには、まばゆい銀のすすきの穂が、いちめん風に波立っています。その城あとのまん中に、小さな四っ角山があって、上のやぶには、めくらぶどうの実が虹のように熟れていました。さて、かすかなかすかな日照り雨が降りましたので、草はきらきら光り、向こうの山は暗くなりました。そのかすかなかすかな日照り雨が霽れましたので、草はきらきら光り、向こうの山は明るくなって、たいへんまぶしそうに笑っています。」ーー

著者:太宰治
朗読:長尾奈奈
制作:声の書店
協力:株式会社 仕事
再生時間:0:09:56
販売開始日:2024/8/22 

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著者について

宮沢賢治

明治29年(1896) – 昭和8年(1933)

岩手県花巻生まれ。盛岡高等農林学校在学中より、同人誌へ短歌や散文の習作をはじめる。大正10(1921)年に上京。筆耕の仕事をしながら童話を執筆。同年、妹の病の報を受け帰郷する。農学校の教諭を務めながら数々の作品を執筆し、大正13(1924)年、詩集『春と修羅』、童話集『注文の多い料理店』を出版。農学校を退職後、羅須地人協会を設立。農業や芸術の地域活動に献身する。生前は無名に近いまま、病のため37歳で永眠。没後『銀河鉄道の夜』『風の又三郎』『ポラーノの広場』『よだかの星』『雨ニモマケズ』等、多数の作品が刊行された。