燈籠(11)

燈籠

【日本近代文学名作選⑪】

太宰治

朗読 長尾奈奈

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太宰治(明治42年 – 昭和23年)による短編小説『燈籠』
「言えば言うほど、人は私を信じて呉れません。逢うひと、逢うひと、みんな私を警戒いたします。ただ、なつかしく、顔を見たくて訪ねていっても、なにしに来たというような目つきでもって迎えて呉れます。たまらない思いでございます。もう、どこへも行きたくなくなりました。すぐちかくのお湯屋へ行くのにも、きっと日暮をえらんでまいります。誰にも顔を見られたくないのです。ま夏のじぶんには、それでも、夕闇の中に私のゆかたが白く浮んで、おそろしく目立つような気がして、死ぬるほど当惑いたしました。」――

著者:太宰治
朗読:長尾奈奈
制作:声の書店
協力:株式会社 仕事
再生時間:0:21:11
販売開始日:2021/3/2
初出:「若草」昭和12(1937)年

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著者について

太宰治

明治42年 (1909) – 昭和23年 (1948)

青森県北津軽郡生まれ。本名、津島修治。中学時代から同人誌へ習作を発表。昭和10(1935)年『逆行』が第1回芥川賞候補となる。翌年、第一創作集『晩年』を刊行。以後、『富嶽百景』『津軽』『ヴィヨンの妻』『人間失格』等多くの作品を執筆。